よき睡眠について その2

だんだん涼しくなってきて、熱帯夜の寝苦しさはどこかへ行きましたね。
今月も引き続き、睡眠についてのお話をしたいと思います。

私がよく知っている心療内科医が大変面白い視点の本を書いています。
「お酒や薬に頼らない『必ず眠れる』技術」角川SSC 新書
森下克也著

この本の中では、睡眠のメカニズムやうつ病や体の病気による不眠、専門医への受診が必要な睡眠の病気などについてわかりやすく書かれています。

森下氏は、不眠の原因について、とても普遍的な要素について面白い見方をしています。
その一つが「頭の中のつぶやき」です。
眠れない夜、誰もが頭に引っかかることをあれこれ考えますよね。
例えば、、、、

「あの時、なんであんな事言ったんだろう。思い出すと恥ずかしい」
「**さんに言われたあの一言、腹がたって悔しくて仕方ない」
「あんな事してしまって、嫌われたかもしれない」
「これからどうなるんだろう、自分はダメかもしれない」
「今度、こんなことがあったらどうあいつに言い返そうか?今度は言い負かされないぞ」

それは頭の中の終わりのない会議であり、反省会です。
この頭の中のひとりごとが続いていると、脳がどんどん覚醒して目覚めていきます。
こんな時はどれだけ睡眠薬を飲んでも、その効果はしれたものです。

頭の中でこのひとりごとを止めるために、著者は「頭の中で『アーーー』と発声練習のように声を出す」ということを提案しています。
実際には声を出さずに、想像の中で自分が声を出し続けるということです。

頭の中のつぶやきだけでなく、不眠の元になる筋肉の緊張を簡単にほぐす方法、寝る前の読書、寝る前のお風呂、夜食、など興味の尽きない眠りに関する話が、この本の中で紹介されています。

昔から眠れないときは「羊が一匹、羊が二匹、、、」と数えると良いと言われていました。
考えてみれば、この方法も「頭の中の独り言」を止めるための、ひとつの手段だったのでしょう。
私の経験から言えば、「ヒツジ」よりも「頭の中の発声練習」を訓練したほうがずっと楽で、有効です。
他に、「言葉のもぐらたたき」(笑)という方法を試したこともあります。

写真は、不眠に悩むことが全くない、院長の愛猫・金時。